テレマーケティング会社のビジネスモデルキャンバス




イノベーション人材育成の教育総研の岡本です。「新しい市場を創出する力」シリーズの第11回目は、テレマーケティング会社のビジネスモデルキャンバスです。 今回はここ数年増加しているテレマーケティング代行会社のビジネスモデルキャンバスを考えてみましょう。

テレマーケティングは企業に代わって電話対応を代行するビジネスです。大きくインバウンド型とアウトバウンド型があります。インバウンド型はユーザーからの雑多な問合せに対して事前に発注企業と取り決めたスクリプト(台本)に基づいて対応するものです。企業のヘルプデスクや苦情相談窓口、テクニカルサポート、注文受付代行などが具体的なものです。アウトバウンド型は顧客リストに基づいて販路開拓を行うものが多いです。またすでにご購入いただいているユーザーに対してグレードの高い商品をお勧めするアップセル、ご購入いただいた商品に関連する商品をお勧めするクロスセルなどもあります。今後はインターネットの浸透により、インサイドセールスという対面を必要としないメールや電話での非対面営業の比率が、特に新規開拓では多くなってくるものと思われますので、テレマーケティング市場は成長していく可能性が大きいと思われます。

テレマケのコスト構造は、アウトバウンドに対応できる法人データベースの質量のメンテナンス管理コストが大きいでしょう。そしてそれを効果的に活かすコールスタッフの研修育成コストです。テレマケの運営自体は大量のコールスタッフによる人海戦術ですので、仕事の戻りやトラブル処理などに時間を掛けない効率的な運営が利益を産み出します。

収益はインバウンド型であればワンブース(席)月160時間単位での収入、アウトバウンド型であれば荷電リスト数に応じた固定収入となります。したがって、取り扱い件数が増えれば損益分岐点を
越えて利幅が増加する仕組みになっています。

キーパートナーとしてはコンサルティング会社が大きなウエイトを占めてくるでしょう。テレマケ自体は電話応対サービスの代行ビジネスですが、実際は営業プロセスのアウトソーシングビジネスになります。したがって顧客の業種業態ごとに営業プロセスを要素分解してもっとも効率的な仕組みを構築していくことが求められます。営業支援系のコンサルティング会社と連携することでテレマケサービスの優位性を築いていく事になります。

ビジネスは常に変化への対応を求められ、継続したリソースの充実に努めることが欠かせません。ビジネスモデルキャンバスはどこに投資の重きを置けばよいかと言う知見を与えてくれるものでもあります。ビジネスモデルキャンバスの活用の幅をぜひ広げていってください。





タイムズ24「カーシェア」のビジネスモデルキャンバス




イノベーション人材育成の教育総研の岡本です。「新しい市場を創出する力」シリーズの第10回目は、タイムズ24カーシェアのビジネスモデルキャンバスです。 今回はカーシェアビジネスを展開しているタイムズ24カーシェアのビジネスモデルキャンバスを考えてみましょう。カーシェアは車には乗るけれども車を持たない層が増えているのに着目して広がりつつあります。近くの駐車場にカーシェア用の駐車スペースや車があるのを見かけられた方も多いのではないかと思います。タイムズ24はこのトレンドに注目し早期からカーシェアビジネスに取り組んでいます。

タイムズ24 カーシェアリング「タイムズカープラス」
http://plus.timescar.jp/lp/li01001/?gclid=CIK58IDt7ccCFcSUvQod9rkBOg

タイムズ24は47都道府県全てに駐車場を保有しておりその数約16,000ヶ所。拠点の数が多いという事ですから、駐車場と駐車場を結べば移動できる可能性は広がるという事ですね。カーシェアは借りた駐車場と同じところに戻さなくても、タイムズ24の駐車場であればどこでもいいので、駐車場が多いというメリットは大きいです。現在は7,000ヶ所の駐車場がカーシェアに対応しています。今後も増えるものと予想されます。また駐車場はご存じのように現金を取り扱いますから、セキュリティ設備や料金管理システム、空きスペース管理システムなどITを駆使したネットワーク情報管理システムが構築されています。ということは今どこの駐車場がどれだけ空いているかという情報がリアルタイムに察知できます。これがカーシェアビジネスのリソースの原点になっています。タイムズ24はすでにカーシェア用に約60万台の車を保有しています。

仕組みは会員制になっており、15分単位で車を借りることが出来ます。従来のレンタカーが半日もしくは一日単位であったことを考えれば顧客の利便性は飛躍的に高まったと言えるでしょう。会員は基本料金と15分単位の使用料を毎月指定口座から引き落とされるだけ。スマホアプリが充実しているので、出先で車を借りることもOKですし、乳幼児を抱えたお母さん、足腰の弱い方の送迎など、ちょっと車が入用の時に便利です。スマホアプリでは検索機能や空車案内など顧客視点に立ったシステムがバージョンアップされています。

ITを有効に活用することで少額であっても利用者数・利用回数が増えてもコスト上昇少なくその差額で収益を上げていくのがロングテールへの対応です。そういう面ではタイムズ24のカーシェアビジネスは安定収入を得る考え方としてロングテールに対応したビジネスモデルになっていると言えるでしょう。

このように考えると所有していても使用するのは年に数回という費用対効果の悪いと考えられるもののシェアビジネスは車に限らず可能性があるという事になりますね。また新しいビジネスのヒントが出来ました。

リブセンスのビジネスモデルキャンバス



イノベーション人材育成の教育総研の岡本です。「新しい市場を創出する力」シリーズの第9回目は、リブセンスのビジネスモデルキャンバスです。 今回はネット求人広告のリブセンスのビジネスモデルキャンバスを考えてみましょう。求人広告の分野はリクルートモデルと言われる求人広告誌に有料で広告を掲載し無料で大量に配布するというビジネスモデルがスタンダードなものでした。求人が来るようなコピーライティングやレイアウトを制作会社が行いその企画制作及び広告掲載料を求人側の会社が払うというものです。常時、求人がある会社はこれでいいのですが、欠員補充や若干名の採用をしたい多くの中小企業の場合は応募があるかどうか、あるいは応募があったとしても採用に至るかどうかわかならい中で数十万円の経費を拠出するのは費用対効果の面で納得しがたいものがありました。

リブセンスは紙媒体は一切手をつけないかわりに、すべてオンラインでの求人広告を運営しています。しかもリブセンスのひな形に入力してチェックを受ければ自動的に掲載OK。掲載に関しては費用は一切かかりません。応募があり面接をして採用に至って初めて広告掲載料が請求されます。成果報酬型のビジネスモデルと言えます。従来の求人広告には掲載料がかかるといういわば秩序を破壊したと言えるのです。

ビジネスモデルキャンバスでは、成果報酬型求人広告で掲載無料と言う価値を提案し、この価値をもっとも受け入れ易い時々求人が発生する中小企業を顧客セグメントとし、ネット広告での認知活動を行い、顧客接点関係の出来た顧客には会員として必要な求人情報の提供を行って良好な関係を維持しています。このような価値を生み出す源泉となっているのは高度なネットリテラシーを持ったスタッフであり、様々なオンラインサービスを開発して後発を寄せ付けず、最新のインターネットメディアとの協力関係も維持しています。

スタッフ育成やシステム構築に費用をかけるとともに、固定型求人広告よりも高い成果報酬で安定収益を保っています。今後のビジネスの大きな流れとして費用対効果がサービス購入の要因となっていますので、これからはこのように無料で一気に多くの見込み客を集めて成果(効果)が上がった時点で報酬を得るという成果報酬型ビジネスモデルが台頭してくるものと思われます。

東進ハイスクールのビジネスモデルキャンバス



イノベーション人材育成の教育総研の岡本です。「新しい市場を創出する力」シリーズの第8回目は、東進ハイスクールのビジネスモデルキャンバスです。 今回は東進ハイスクールのビジネスモデルキャンバスを考えてみましょう。今でしょ!で急伸した大学進学予備校の東進ハイスクール。従来の予備校ビジネスモデルとは一線を画した価値を提供しました。いままでの予備校は都心部に大部屋を設けて、カリスマ講師による集中講義方式でした。従って浪人生が顧客であり、かつ地方の浪人生は東京や大阪に下宿して出てくる必要がありました。ここで東進ハイスクールは、衛星通信による遠隔授業といつでも再生できるDVDを組合わせることによって、地方の現役生でも受講できるようにしました。新しい市場を創造したのです。市場参入したころのキャッチコピーは、部活しながらでも学べる!現在はどの予備校もインターネットを利用した授業を進めていますが、一番手の法則に則って遠隔授業のノウハウを蓄積してきた東進ハイスクールに一日の長があるのは言うまでもありません。

市場が都心部のみから地方に、かつ浪人生のみから現役生にと広がったわけですから、超難関校への合格実績も増えました。この実績を価値提案として呈示して多くの顧客である高校生を獲得し、運営面では少数の正社員と受験生の相談相手になれる大学生をアルバイトとして大量に確保し、DVDの使い方や分らないところのアドバイスなどの対応マニュアルも整備して市場におけるリーダーポジションを獲得しました。

いわゆる受験のための学習の仕組みを構築したわけです。仕組みと言う言葉は至る所に出てきますが、仕組みは、1ツール、2マニュアル、3最低限のスキルによって出来ていくものです。衛星通信による授業やDVD、教材・テキストと言うツール、指導マニュアル、そしてそれを効果的に活用できるスキル。これらをうまく組み合わせて、地方の現役生と言う新しい市場にリーチした結果、大学進学予備校の市場創造を果たしたと言えるでしょう。

今回は市場創造型のビジネスモデルを見ていただきましたが、仕組みづくりの重要性と今までにない、しかし潜在的なニーズは存在しているターゲットの発掘の重要性について再確認していただいたのではないでしょうか。





アマゾンのビジネスモデルキャンバス



イノベーション人材育成の教育総研の岡本です。「新しい市場を創出する力」シリーズの第7回目は、アマゾンのビジネスモデルキャンバスです。 今回はアマゾンのビジネスモデルキャンバスを考えてみましょう。アマゾンを利用されて心地よいと感じていることは何でしょうか。これが価値ですね。ここで書籍に限って考えてみましょう。まずどんな本でも手に入れることが出来ます。絶版本でも中古品として出品されています。単行本に手を加えてすでに文庫本になっているものでも、単行本の方を入手することも可能です。豊富な在庫商品を検索して見つけ出す検索の利便性も大きな価値になっています。プライム会員であれば午前中に注文すればその日には手元に届くスピード。豊富な在庫量と軽やかな検索、迅速な配送はアマゾンの価値と言えるでしょう。このような価値を必要とする顧客は多忙で読書量の多いユーザーと想定されます。これで価値提案と顧客セグメントが決定されます。

この多忙な読書ユーザーには読みたいと思う本があればまずは購入して全体に目を通したい。本に払うお金は食事や他のものに使うことに比べたら相対的に安いと思っていますから、常に目に入るようにアンテナに触れるようにしておくことが購入機会を生み出すポイントになります。そこでチャネルとしてはターゲッティング広告を効果的に投入することになります。彼らとの良い関係を維持するには時間が最大のキーワードです。クイックレスポンスで注文ストレスを解消していく事は何にもまして重要になります。ワンクリックで買うことのできるのもこのコンセプトを継承しているのです。これらの組合わせにより書籍やkindleを中心とする書籍購入を促し、安定した収益を上げることが出来るのです。従来の本屋さんと販売するものも儲けの元も全く同じです。お客様の購買プロセスをITによって変革したのです。このようなモデルをプロセス変革型モデルと言います。

では価値である豊富な在庫量、検索の利便性、迅速な配送を実現するためにアマゾンはどのようなリソースを活用したのでしょうか。抜きんでた検索技術はプログラム開発をキーリソースとしていかんなく活かされています。これかせ主要活動です。また迅速な配送はキーパートナーである配送ネットワークにより結実しています。恐らく多忙な読書ユーザーの商品検索や注文のイライラを解消するためのプログラム開発には多大な投資がなされているはずです。

このようにビジネスモデルキャンバスを整理することで、事業の成功要因が見えてきます。逆に考えればビジネスモデルキャンバスを通して、事業の骨格を構築していく事も出来ます。ぜひビジネスモデルキャンバス、大いに活用して下さい。





ビジネスモデルキャンバス



イノベーション人材育成の教育総研の岡本です。「新しい市場を創出する力」シリーズの第6回目は、ビジネスモデルキャンバスです。 リーンスタートアップの重要なツールとしてのビジネスモデルキャンバス。事業に必要な要素が見事に配置されています。またその位置関係も大きな意味を持っています。

では作成手順についてポイントを説明いたします。まず最初に考えるのは、誰にどういう価値を提案するのかということです。その商品やサービスを受け取るべき理想の顧客を出来る限り具体的に描きます。いわゆるペルソナと言うものです。このペルソナをはっきりと描くことで商品やサービスが表象的なものではなく、本質的な価値を明確にすることが出来ます。価値が明確になれば商品やサービスの具体的な設計もスムースに進みます。まず「顧客セグメント・カスタマーセグメント」と「価値提案・バリュープロポジション」を明確にすることに十分に時間をかけていただきたい思います。

次にその価値をどのような手段や方法で伝えることが、顧客セグメントに正しく適切に受け止めていただけるのかと言うのが「チャネル」です。チャネルは経済的な合理性により決定されている面がありますが、ここでは価値を届ける手段として位置付けてください。とくにインターネットの浸透により価値の伝え方は大きく変化してきました。チャネルはいわば新規顧客開拓に値します。実際に収益を上げていくためには、リピーターの増加も必要になってきます。そのために一度購入いただいた顧客との関係を良好に維持していく事が求められます。これが「顧客との関係・カスタマーリレーション」です。データベースを活用したカスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)も良い関係づくりの手段になります。

そのことにより安定的な収益を上げることが実現出来てきます。収益は単発的に上げるのではなく、継続的に安定的に上げていく必要があります。それは人件費・事務所家賃・減価償却そして借入返済などの毎月かかる固定的な費用がありますので、収益も安定的に継続的に獲得することが求められます。この安定的な収入を「レベニューストリーム」と言います。

次に収益につながる価値をどのようにして上げていくのでしょうか。企業には様々な経営資源が蓄積されています。ヒト・モノ・カネ・情報と言われるものが経営資源の代表的なものです。これらの経営資源の中で、先ほどの価値を生み出すのに最も重要なものそれが「キーリソース」です。このキーリソースを効果的に活用しなければ宝の持ち腐れになります。これをどのように活用していくのかが「主要活動・キーアクティブティー」になります。その活動を行っていく上で自社ですべて内製化するのではなく専門的なパートナーと組んだ方が、事業のスピードアップや価値向上に役立つ場合が多いでしょう。パートナーはサプライヤーの場合もあり大学等の研究機関の場合もあり様々です。この中で価値につながる企業活動を支えてくれるのが「キーパートナー」です。

これらのリソースを活かしていく上で当然、費用がかかってきます。事業を推進していく上でどこに投資をすれば良いのか、あるいはどのコストをしっかりとみておくべきなのか。これが「コスト構造」になります。これらの事業成功の九つの要素を視覚的に分かりやすく図解したものがビジネスモデルキャンバスになります。最初はキーワードだけでも結構です。まずは九つの要素を関係づけてみましょう。

リーンスタートアップ




イノベーション人材育成の教育総研の岡本です。「新しい市場を創出する力」シリーズの第5回目は、リーンスタートアップです。 ビジネスをスタートさせる時に必要なものでもっとも欠かせないものはやはり資金でしょう。スタートアップ時はいい商品やサービスをつくることに専念していてどうやって売っていくかということや初期の資金繰り・運転資金について考えていないことが多いと思います。また本当にその商品やサービスが受入れられるのかについても、市場の意見を聞きながら開発に取り入れているかと言うと、実際は自分たちの情熱と思い込みで憑りつかれた様に開発しているというのが実態ではないかと思います。そして時間が経っていき気がつくと資金が枯渇して生活にも困るというようなことが繰り広げられています。技術も素晴らしい、情熱もある、スタッフもそろっている。それでも結果は資金不足による開発の断念。これはスタートアップの方法論に問題があるのです。

リーンスタートアップと言う概念がその答えを出してくれます。

リーンスタートアップ エリック・ソース著 日経BP社
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97-%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9/dp/4822248976/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1441573741&sr=8-1&keywords=%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97

もともとは生産工程でムダを省くリーン生産方式を基に考えられたものです。リーン生産方式そのものはトヨタ自動車のカンバン方式などの効率的生産システムをマサチューセッツ工科大学が体系化したものです。この概念を事業開発のプロセスに再定義したものです。

リーンスタートアップの中核をなしているのは「ビジネスモデルキャンバス」です。市場調査に何ヶ月もかけるのではなく、まずこれはという仮説を事業の成功要因である九つの要因について一枚の紙に図解します。全体の関係性や具体性が見えてくればOKです。このビジネスモデルキャンバスは本当によく出来ています。何が良く出来ているかと言うと必要な要因が明確である事と、要因の配置がしっかりと意味を持っていることです。仮説をビジネスモデルキャンバスに図解することが最初のポイントです。


もう一つは市場から明確なフィードバックを受けられるような見えるカタチをつくることです。見えるカタチとは、最低限使用できる製品や場合によっては試作品やサンプル、それが難しい場合は詳しい企画書を作成して市場からの意見を早く集めるのです。この最低限使用できる製品をミニマムバイアブルプロダクツ(MVP)と言います。



三つ目は市場開発と並行して商品開発を進めることです。市場からのフィードバックを受けて、市場開発と歩調を合わせて商品開発やサービス開発を進めていくのです。これをアジャイル開発と言います。近年のソフト開発の現場では実践されていっています。

このような取り組みにより贅肉をそぎ落とした事業開発手法であるリーンスタートアップで市場に最初に参入する一番手になるのです。

ポジティブアプローチ


イノベーション人材育成の教育総研の岡本です。「新しい市場を創出する力」シリーズの第4回目は、ポジティブアプローチです。新市場を探索していく上でアプローチの方法は二つあります。新市場のあるべき姿を描いて、現状とのギャップを浮き彫りにして解決していくギャップアプローチ。まず出来るところから始めて持続可能な行動計画に移していくポジティブアプローチ。どちらのアプローチも有効です。

ギャップアプローチはあるべき姿を仮説として描きます。ある程度、新市場のイメージが出来ていて、開発の過程でどのような問題が引き起されるのかも具体的に抽出できており、その根本的な問題解決を目指すことが前提になります。キャッチアップ型の商品開発や技術開発などはギャップアプローチの方がチームのベクトルも合ってモチベーションも維持できるのではないかと思います。しかしこういうモノやサービスを生み出したいという価値イメージははっきりとしていても、肝心要の商品やサービスが具体的でない場合は、どこに問題があるのかさえも分かりません。その場合はギャップアプローチは思う様に機能しません。

むしろありたい姿に向けて行動を起こしていく。そのプロセスでイメージが鮮明になっていく。どこに可能性があるのかがはっきりしてくる。あるべき姿が外的に与えられたものとするならば、ありたい姿は様々な事に遭遇するプロセスで内側から沸き起こってくるものと言えるでしょう。まず出来る事から始める。根気よく続ける。常に可能性を引っ張り出す。そのようなポジティブアプローチを考え方の基軸にしたのが、リーンスタートアップです。スモールスタートとも言えます。そのことでスピードを上げながら自分たちの価値提案をもっとも受け入れてくれる顧客セグメントに向けて適切なチャネルで発信していく。完璧を期するのではなく、ターゲットと思われる市場の意見を汲み取りながら同時進行的に商品やサービスの開発を行い新しい市場を形成していく。そのようなポジティブアプローチが環境変化の激しい時代には向いているのではないでしょうか。



開発ステップ



イノベーション人材育成の教育総研の岡本です。「新しい市場を創出する力」シリーズの第3回目は、開発ステップです。 マーケットリスク認識の重要性についてこのブログで言及しましたが、このマーケットリスクについてもう少し掘り下げてみたいと思います。

自社のコア技術を活かした商品開発を行うステップを技術開発ステップとしましょう。いわゆるテクノロジーリスクを解決していくステップになります。多くは数値的課題が明確になっていますから、目標の置き方や選択すべき方法は具体的に見ることが出来ます。いわば組織や人が全力を挙げて邁進するわけです。さて、商品がいったん完成しました。はてどうやって売ればいいのか。新しいコンセプトの商品になると従来の販売チャネルでは販売することが出来ない場合が多いようです。プロモーションについてもいままでの経験した方法で取り組むことでは適切にターゲットにリーチしないようです。ここで頭打ちになり、いわゆるマーケットリスクが発生する訳です。改良品やすでに顧客からのニーズが明示されている場合は、マーケットリスクも小さくマーケティング努力や営業努力で解決できますが、新しい市場を創るとなればこれは大きな壁になります。このマーケットリスクをどのように切り崩して行けばいいのでしょうか。

「新しい市場の作り方」を上梓された三宅秀道先生によれば、新商品が売れていくためには、市場が新たに受け入れてくれる様な環境を整えることが重要であると指摘されています。いわゆる「環境開発」の重要性を述べておられます。

新しい市場の作り方 三宅秀道著 東洋経済新報社
http://www.amazon.co.jp/%E6%96%B0%E3%81%97%E3%81%84%E5%B8%82%E5%A0%B4%E3%81%AE%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%9F-%E4%B8%89%E5%AE%85-%E7%A7%80%E9%81%93/dp/4492522050/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1441416545&sr=8-1&keywords=%E6%96%B0%E3%81%97%E3%81%84%E5%B8%82%E5%A0%B4%E3%81%AE%E4%BD%9C%E3%82%8A%E6%96%B9

先生の新しい市場を作るための四つの開発ステップをお借りして、テクノロジーリスクとマーケットリスクの視点から市場創造のための開発ステップをアレンジしてみました。マーケットリスクを、市場が新たな価値を受入れてくれる様な環境を整える環境開発、その商品が必要とする人に認知されるようにコミュニケーションを取る認知開発、その商品が自分が求めていたものだと問題意識を持ってもらう問題開発に分けて、それぞれのステップの課題を明確にしていく事で科学的な市場創造の第一歩が踏み出せるのではないかと思います。






潜在ニーズ



イノベーション人材育成の教育総研の岡本です。「新しい市場を創出する力」シリーズの第2回目は、潜在ニーズです。

マーケティングはお客様のニーズ対応が大切だとよく言われます。確かにその通りです。だからお客様のご意見を伺い、満足度を測り、満たされていないニーズやウォンツをクリアすべく商品開発やサービス開発を行っているのです。しかし新しい市場の創出となるとそうは行きません。先ほどのニーズ対応はすでに競合も手掛けていることが多く、行きつくところ価格競争になるのは必至です。またその効果もおおむね短期間しか維持できず、常にニーズ対応を積み重ねていく事になりそのためのコストも大きく圧し掛かってきます。ではどうすれば新しい市場を創出できるのでしょうか。

それは誰もが気づいていない潜在ニーズに対応することです。昨年フィリップスの家庭用製麺機「ヌードルメーカー」が発売されました。

麺は買うものであり家で作るものとは恐らく誰も考えていなかったのではないでしょうか。現在は類似商品も出てきていますがフィリップスが一番手であった事は間違いありません。市場を創出し一番手の法則に則り市場をリードしています。これからどんどんと改良されていくでしょう。また顧客のハートの中でのマインドシェアも高く、入ってくる改良のための情報量の多さも含めて、当分、優位性は崩れないと思われます。

もちろん日本の家庭での麺の消費量が多いこと、ラーメン、うどん・蕎麦、パスタなどの外食での消費も多いことも環境としてすでに整っていると言えます。つまり一定の需要が見込める背景の中で、フィリップスは家庭用製麺機という誰も考えていなかった商品を市場に投入し、日清フーズとの協力によりレシピや製麺に関する情報提供などの外堀も埋めていったのです。前回このブログでお話しした家庭で手軽に使える製麺機というテクノロジーリスクと、市場で受け入れられるというマーケットリスクをクリアする努力をしているのです。

もうこれで賢明な開発者ならば気づくはずです。家庭でまだ使われていない食材づくりの製造機は新しい市場の創出の可能性があるのではないかという事を・・・。

マーケットリスク



イノベーション人材育成の教育総研の岡本です。「新しい市場を創出する力」シリーズの第1回目は、マーケットリスクです。

新しい市場を創り出した成功事例は、その商品やサービスの斬新さや秀逸さが語られます。しかし本当に商品やサービスが斬新であったり秀逸であれば新しい市場を生み出すことが出来るのでしょうか。

商品化やサービス化はあくまでカタチにしていくプロセスであり、商品やサービスが完成しただけでは売れていく事はありません。もちろん商品化もサービス化も簡単ではありません。技術や材料や加工などの背景あるいは市場価格や安定供給の可否など様々な壁をクリアしていかなければなりません。この壁をテクノロジーリスクと言います。そのテクノロジーリスクをクリアしても、更に次の大きなリスクが待ち受けています。マーケットリスクです。ほとんどの事業はこのマーケットリスクをクリアできずに陽の目を見ないといってもいいでしょう。

いままでにない商品やサービスであればあるほど、市場で受け入れていただく努力が欠かせません。その努力が新しい文化や、新しい生活習慣や、新しいライフスタイルを創り出していくのです。逆に言えば、新しい文化・生活習慣・ライフスタイルを創り出す情熱を持って取り組んでいく事がスタートアップ期の最大の課題とも言えるでしょう。マーケットリスクの克服なくして新しい市場を創出することは出来ません。

新商品や新サービスの開発にはテクノロジーリスクとマーケットリスクが存在していることを踏まえて取り組んでいただきたいと思います。