イノベーション人材育成の教育総研の岡本です。「新しい市場を創出する力」シリーズの第8回目は、東進ハイスクールのビジネスモデルキャンバスです。 今回は東進ハイスクールのビジネスモデルキャンバスを考えてみましょう。今でしょ!で急伸した大学進学予備校の東進ハイスクール。従来の予備校ビジネスモデルとは一線を画した価値を提供しました。いままでの予備校は都心部に大部屋を設けて、カリスマ講師による集中講義方式でした。従って浪人生が顧客であり、かつ地方の浪人生は東京や大阪に下宿して出てくる必要がありました。ここで東進ハイスクールは、衛星通信による遠隔授業といつでも再生できるDVDを組合わせることによって、地方の現役生でも受講できるようにしました。新しい市場を創造したのです。市場参入したころのキャッチコピーは、部活しながらでも学べる!現在はどの予備校もインターネットを利用した授業を進めていますが、一番手の法則に則って遠隔授業のノウハウを蓄積してきた東進ハイスクールに一日の長があるのは言うまでもありません。
市場が都心部のみから地方に、かつ浪人生のみから現役生にと広がったわけですから、超難関校への合格実績も増えました。この実績を価値提案として呈示して多くの顧客である高校生を獲得し、運営面では少数の正社員と受験生の相談相手になれる大学生をアルバイトとして大量に確保し、DVDの使い方や分らないところのアドバイスなどの対応マニュアルも整備して市場におけるリーダーポジションを獲得しました。
いわゆる受験のための学習の仕組みを構築したわけです。仕組みと言う言葉は至る所に出てきますが、仕組みは、1ツール、2マニュアル、3最低限のスキルによって出来ていくものです。衛星通信による授業やDVD、教材・テキストと言うツール、指導マニュアル、そしてそれを効果的に活用できるスキル。これらをうまく組み合わせて、地方の現役生と言う新しい市場にリーチした結果、大学進学予備校の市場創造を果たしたと言えるでしょう。
今回は市場創造型のビジネスモデルを見ていただきましたが、仕組みづくりの重要性と今までにない、しかし潜在的なニーズは存在しているターゲットの発掘の重要性について再確認していただいたのではないでしょうか。