潜在ニーズ



イノベーション人材育成の教育総研の岡本です。「新しい市場を創出する力」シリーズの第2回目は、潜在ニーズです。

マーケティングはお客様のニーズ対応が大切だとよく言われます。確かにその通りです。だからお客様のご意見を伺い、満足度を測り、満たされていないニーズやウォンツをクリアすべく商品開発やサービス開発を行っているのです。しかし新しい市場の創出となるとそうは行きません。先ほどのニーズ対応はすでに競合も手掛けていることが多く、行きつくところ価格競争になるのは必至です。またその効果もおおむね短期間しか維持できず、常にニーズ対応を積み重ねていく事になりそのためのコストも大きく圧し掛かってきます。ではどうすれば新しい市場を創出できるのでしょうか。

それは誰もが気づいていない潜在ニーズに対応することです。昨年フィリップスの家庭用製麺機「ヌードルメーカー」が発売されました。

麺は買うものであり家で作るものとは恐らく誰も考えていなかったのではないでしょうか。現在は類似商品も出てきていますがフィリップスが一番手であった事は間違いありません。市場を創出し一番手の法則に則り市場をリードしています。これからどんどんと改良されていくでしょう。また顧客のハートの中でのマインドシェアも高く、入ってくる改良のための情報量の多さも含めて、当分、優位性は崩れないと思われます。

もちろん日本の家庭での麺の消費量が多いこと、ラーメン、うどん・蕎麦、パスタなどの外食での消費も多いことも環境としてすでに整っていると言えます。つまり一定の需要が見込める背景の中で、フィリップスは家庭用製麺機という誰も考えていなかった商品を市場に投入し、日清フーズとの協力によりレシピや製麺に関する情報提供などの外堀も埋めていったのです。前回このブログでお話しした家庭で手軽に使える製麺機というテクノロジーリスクと、市場で受け入れられるというマーケットリスクをクリアする努力をしているのです。

もうこれで賢明な開発者ならば気づくはずです。家庭でまだ使われていない食材づくりの製造機は新しい市場の創出の可能性があるのではないかという事を・・・。